声明・意見書
2021年07月16日|声明・意見書
2021.07.13 成年年齢引下げに伴う消費者被害防止のための施策を求める会長声明
民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法の施行日(202
2年4月1日)まで9か月を切ったが、以下のような問題がある。
民法の成年年齢を引き下げることで、未成年者取消権を喪失する18歳及び
19歳の若年者に対して消費者被害が拡大することが懸念されていた。そこで、
2018年の本改正民法の成立に際しては、参議院法務委員会において全会一
致で附帯決議がなされ、そこでは、①知識、経験、判断力の不足などを利用して
勧誘し契約締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけ込み型不当
勧誘取消権)を創設すること(法成立後2年以内)、②若年者の消費者被害の防
止・救済のための必要な法整備を行うこと(法成立後2年以内)、③マルチ商法
等による消費者被害の実態に即した対策について検討し必要な措置を講ずるこ
と、④消費者教育を質量共に充実させること、⑤18歳、19歳の若年者への周
知徹底や社会的周知のための国民キャンペーン実施を検討すること、⑥施行日
までにこれらの措置の実施、効果、国民への浸透について調査・検討し、その状
況を随時公表することなどが求められた。
ところが、成立から3年あまりが経過し、施行まで約9か月となった現時点に
おいても、いずれの施策もいまだに十分とは言えない。例えば、つけ込み型不当
勧誘取消権の創設は、附帯決議に明示された期限を既に経過しているにもかか
わらず、その目途も立っていない。消費者教育についても、「若年者への消費者
教育の推進に関するアクションプログラム」や「成年年齢引下げに伴う消費者教
育全力キャンペーン」等は実施されているものの、消費者被害の予防につながる
実践的な消費者教育が全国的に十分に行われているとは言えない。
よって、当会は、国に対し、前記附帯決議に示されたような成年年齢引下げに
伴う弊害防止のための実効性ある施策を速やかに実現することを求めるもので
ある。
以上
2021年(令和3年)7月13日
新潟県弁護士会
会長 若 槻 良 宏
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