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お知らせ

福島第一原子力発電所からの避難者に対して 迅速かつ適切な仮払いを行うことを求める会長声明

1 現在,新潟県内には,1万人に近い被災者が避難されている。そして,そのなかには,福島第一原子力発電所の深刻な原子力事故による
放射能汚染の悪影響から,予防的に逃れるためにやむなく避難されてきた方々も多く含まれている。まさに着のみ着のままで避難されてきた
方々や,今後も当面福島県内に戻る見込みが立たず収入の目処を見い出すことのできない方々も多数おられる。
 東京電力は,これら避難者の方々に対し,生活費を含めた相当額の避難費用等を迅速かつ適切に賠償しなければならない。
 近時の報道によれば,東京電力は,損害賠償金の仮払いをはじめるとのことであるが,当然,迅速かつ適切に仮払いがなされるべきである。
2 この仮払いの対象者については,避難指示を受けて避難された20キロメートル圏内の方々全員についてはむろんのこと,屋内退避を
指示された30キロメートル圏内の方々も含まれるべきである。
 すなわち,30キロメートル圏内の屋内退避指示を受けた方々については,避難指示を受けていないとはいえ,放射性物質(ヨウ素131,
セシウム137等)の漏洩・飛散による放射線の悪影響の懸念がなければ,避難する必要がなかったことは明白である。しかも,放射線被害
という見えない作用により被曝することは,重大で回復困難な身体損傷が生ずる可能性があるから,多くの近隣住民がこれを懸念して自主避難
という行動に出ることは,誰が見ても合理性がある。屋内退避指示については,屋内に居続けたまま生活をすること自体極めて困難というべきである。
3 また,30キロメートル圏外で,自治体の誘導により避難された方々など合理的な理由により避難された方々にも仮払いがなされるべきである。
 すなわち,例えば南相馬市のように自治体により住民に対し避難呼びかけがなされている地域の方々,居住地域において積算外部被曝線量が
国際的な退避基準値である20ミリシーベルトを越える箇所が発生・拡大している地域の方々(例・浪江町),近隣避難の影響により生活困難を
余儀なくされ,結果として自主避難をされた方々,乳幼児や妊婦など身体的被害が重篤に及ぶ懸念から自主的に避難された方々などには,避難に
合理的な理由のあることが明らかであり,仮払いの必要性もまた明らかである。
4 東京電力は,一刻も早く,こうした避難者の方々の実情を各避難所や自治体の報告,避難者の自主申告をもとに把握し,当面の生活費を
含めた避難費用等の損害賠償金の仮払いを迅速かつ適切に行うべきである。
 東京電力は,仮払いの対象を不当に狭めることなく適切に対処すべきであり,政府もこれを積極的に指導すべきである。

                                        2011年(平成23年)4月9日
                                           新潟県弁護士会
                                           会長 砂 田 徹 也  


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