〜新潟地方裁判所における裁判員裁判第1号事件の審理開始にあたって〜会長談話
本日、新潟地方裁判所において、全国で本年度最後の裁判員裁判第1号事件の審理が始まりました。
これまでの専門家だけによる刑事裁判は、冤罪事件が相次いで明らかになるなど社会から強い批判を受けてきたところです。このため、
裁判員裁判制度に対しては、市民の常識的判断を入れることで刑事裁判を再生させることが期待されていると言えます。言わば「自分も
被告人席に立たされることがあるかも知れない」という市民感覚を刑事裁判に注ぐものです。
当会は、2008(平成20)年2月29日に裁判員法の施行延期を求める旨を決議し、その後も取調べの全面可視化を求める取り組み、
多数決による死刑評決に反対し死刑制度の見直しを求める決議、裁判員の守秘義務をテーマとした市民集会の開催等を通じて、問題提起を
行ってきました。他方で、対象事件の国選弁護態勢の整備、弁護技術向上のための研修の実施等により、制度の施行に向けて万全を
期してきたところです。
裁判所によれば、昨年12月末日までに全国で1154件が起訴され、現在までに300件以上の審理を終えているとのことです。
そして、その成果と問題点も具体的に指摘されてきています。新潟県でもすでに10件の裁判員裁判が起訴されており、
今後相次いで審理が始まろうとしているところです。
当会は、各事件の弁護人の努力に期待するとともに、弁護士会として、全国各地の経験を踏まえ、第1号事件及びその後に続く
各事件を十分に検証し、弁護士としての現場の目線から制度の改善のための具体的な提言を行い、刑事裁判制度の適正な運用に向けて
より一層努力していく所存です。
2010年(平成22年)3月16日
新潟県弁護士会
会長 和 田 光 弘