民主党政権発足にあたって(会長談話)
本日,衆参両議院において,民主党党首鳩山由紀夫氏が首班指名されたことにより,民主党政権が発足することとなりました。
新潟県弁護士会会長としては,民主党政権において,別紙マニフェスト記載の各政策が,実現されることを強く期待します。
とりわけ,刑事裁判における捜査段階の取調べ可視化は,裁判員裁判が始まっている現段階では,焦眉の課題であり,政権による
早急な取り組みを期待します。
また,消費者行政も,消費者の目線に立った行政の実現のため,当会が会長声明を発している人事の適正化も含め,十分な対応を
されるよう期待しています。
さらには,裁判員裁判の量刑評議(とりわけ死刑評議の全員一致)が慎重に行なわれるよう決議した当会決議についても考慮される
とともに,国際的な人権選択議定書の批准を視野に入れた死刑制度の見直しをぜひとも検討されるよう再度求め,新政権にも,
新潟県弁護士会の総会決議を送付したいと思います。
民主党政権がこれら国民・市民の人権に行き届いた政策を実行されることを期待して,会長談話とします。
別紙 民主党マニフェストより
39.製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る
【政策目的】
○雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図る。
○日本の労働力の質を高め、技術や技能の継承を容易にすることで、将来の国力を維持する。
【具体策】
○原則として製造現場への派遣を禁止する(新たな専門職制度を設ける)。
○専門業務以外の派遣労働者は常用雇用として、派遣労働者の雇用の安定を図る。
○2ヵ月以下の雇用契約については、労働者派遣を禁止する。「日雇い派遣」「スポット派遣」も原則禁止とする。
○派遣労働者と派遣先労働者の均等待遇原則を確立する。
○期間制限を超えて派遣労働者を受け入れている場合などに、派遣労働者が派遣先に直接雇用を通告できる「直接雇用みなし制度」を創設する。
47.消費者の権利を守り、安全を確保する
【政策目的】
○日常生活にあるリスクから国民を守る。
○消費者の立場に立った行政を確立する。
【具体策】
○消費者に危害を及ぼすおそれのある製品・物品等に関する情報の公開を企業に義務づける「危険情報公表法」を制定する。
○消費者行政を強化するため、地方消費生活相談員及び国民生活センターの相談員の待遇を抜本的に改善する。
○消費生活相談の過半を占める財産被害の救済と消費者団体訴訟制度を実効あるものとするため、悪徳業者が違法に集めた財産をはく奪する制度を創設する。
【所要額】
400億円程度
48.災害や犯罪から国民を守る
【政策目的】
○災害や犯罪から国民を守る。
【具体策】
○大規模災害時等の被災者の迅速救済・被害拡大防止・都市機能維持のために、危機管理庁(仮称)を設置するなど危機管理体制を強化する。
○日常生活に密着した「地域・刑事・生活安全」にかかる警察機能を拡充する。
【所要額】
500億円程度
49.取り調べの可視化で冤罪を防止する
【政策目的】
○自白の任意性をめぐる裁判の長期化を防止する。
○自白強要による冤罪を防止する。
【具体策】
○ビデオ録画等により取り調べ過程を可視化する。
【所要額】
90億円程度
50.人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する
【政策目的】
○人権が尊重される社会をめざし、人権侵害からの迅速かつ実効性ある救済を図る。
【具体策】
○内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する。
○個人が国際機関に対して直接に人権侵害の救済を求める個人通報制度を定めている関係条約の選択議定書を批准する。
2009年(平成21年)9月16日
新潟県弁護士会
会長 和 田 光 弘