県内各自治体において早急に適正な公文書管理制度を作ることを求める会長声明
2009年6月24日,公文書管理法が制定された。同法は、不十分な点もあるが、法の目的に「公文書等が健全な民主主義の根幹を
支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること」を明記したことなど、積極的に評価できる
面もあり、今後、公文書管理が、情報公開と車の両輪として、国民の知る権利と行政の説明責任を果たす上で重要な役割を担うことを期待したい。
ところで、同法32条は,「地方公共団体は,この法律の趣旨にのっとり,その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し,
及びこれを実施するよう努めなければならない」としている。
したがって、県内自治体においては、早急に適切な公文書管理制度を整備する必要があるものである。
当会は、前記のとおり、公文書管理制度が情報公開条例を補完しつつ知る権利と行政の説明責任を果たす重要な役割を担うものであることの
性質に鑑み、今後、各自治体で創設される公文書管理制度の内容について重大な関心を抱かざるを得ない。
そこで、当会は、県内各自治体に対し、公文書管理制度の整備に関し、以下の要請を行う。
1 県内全自治体において、早急に公文書管理条例を制定し、公文書の作成、管理、利用についての適正をはかること。
2 条例の制定にあたっては、その目的規定に知る権利を明記すること。
3 公文書の作成については、意思形成過程文書の作成義務を明記すること。
4 公文書の管理に関しては、歴史的価値のある文書を保存すべきことを明記した上で,保存すべきかどうかについては第三者機関の関与,
廃棄予定文書の目録の住民への公表・意見募集等恣意的な判断を回避するための方策をとること。
5 公文書館に移管された文書について、何人も利用請求権を有することを明記し、知る権利の保障の見地に立ち、利用の拒否ができるのは
例外的な場合とし、その要件の厳格化をはかること。
なお、当会としても,各自治体において,上記の内容を含む適切な公文書管理制度を設けるよう,専門的知見を有する会員を派遣するなど
協力する用意がある。
2009年(平成21年)8月4日
新潟県弁護士会
会長 和 田 光 弘