参議院での徹底審議を求める緊急談話
政府は、12月5日、福島瑞穂議員に対し、「特別秘密の保護に関する法律案[逐条解説]」(以下、「逐条解説」という)なる文書を
開示した。
同文書は、政府部内で秘密保護法案を検討している際にその逐条解説として作成されたものと思われ、そこに記載されている法案は
国会に提出された法案とは異なる点も多いが、共通する部分も少なくない。
例えば、別表第2号について、「我が国の安全保障等に係る重要施策の方針」については、「我が国の安全保障等にとって望ましい
同盟国等との関係構築に向けた外交戦略等が挙げられる」との記載がある。これは現法案別表2号「外国の政府又は国際機関との交渉又は
協力の方針又は内容のうち国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの」と酷似したものである。
ところで、政府はTPP交渉に関する情報については2号該当性がないとの答弁も行っている。しかし、逐条解説を前提とすると、例えば
TPP交渉に関する情報も、安全保障等にとって望ましい同盟国等との関係構築に向けた外交戦略として2号該当性が認められかねない。
つまり、重要な点において逐条解説と政府答弁との間に矛盾があるということであり、その他の項目においても逐条解説と政府答弁との
間に齟齬が生ずる可能性は否定できない。
このように政府部内において作成された文書と政府答弁との間に明らかな齟齬が見つかった以上、参議院において、それらの齟齬が生じた
経過などについてさらなる審議を尽くす必要があることは明白である。
また、政府は、逐条解説という極めて基本的かつ重要な資料を採決間際まで公開せずに、国会で審議を進めてきたのであり、国会軽視も
甚だしい。逐条解説を公開して審議していれば、法案の問題点はもっと深く審議できたはずである。
少なくともこのような重要な文書の存在が明らかになった以上、さらに審議を尽くすことが必要であり、参議院での強行採決を行うなど
言語同断である。
参議院での強行採決をしないよう強く求める。
2013年(平成25年)12月6日
新潟県弁護士会
会長 味 岡 申 宰