最低賃金の大幅な引上げと地域間格差の是正及び中小零細企業への実効的支援等の実施を求める会長声明
新潟地方最低賃金審議会は、中央最低賃金審議会の厚生労働大臣への答申を踏まえ、8月に本県の最低賃金改定額を新潟労働局長に答申する。
最低賃金制度の目的は、労働者に対し賃金の最低額を保障し、労働条件の改善を図ることにあるから、最低賃金の額は、労働者が人間らしく、
健康で文化的な生活を自ら維持していくに足りるものでなければならない。
現在、新潟県の最低賃金は時給1050円である。この水準で、1日8時間、月21.6日間働いた場合、月収は約18万2000円、
年収は約218万円にとどまる。しかし、労働組合の全国組織が学者と協力して調査した結果には、2025年6月時点の新潟県の最低生計費を
月額27万円程度とするものもあり、上記月収を大きく上回っている。新潟市内の消費者物価指数も上昇を続けている現状を踏まえれば、
労働者の生活を守るため、本年もなお最低賃金の大幅な引上げが不可欠である。
他方で、最低賃金の大幅な引上げは、特に体力の乏しい中小零細企業の経営に影響を与えることとなる。そのため、今後、更に最低賃金を
引き上げていくに当たっては、独占禁止法や取適法をこれまで以上に積極的に運用し、中小零細企業とその取引先企業との間で公正な取引が
確保されるようにするとともに、社会保険料の事業主負担分の減免等中小零細企業への実効的支援策を実現することで最低賃金の引上げを
中小零細企業側から支えていくことも不可欠である。
また、わが国においては最低賃金の地域間格差が依然として大きいことも重大な問題である。2025年10月に改定された最低賃金は、
最も高い東京都で時給1226円であるのに対し、最も低い高知県、宮崎県、沖縄県は時給1023円であり、203円の開きがある。新潟県の
最低賃金も、東京都に比べて176円低く、全国加重平均(1121円)と比べても71円低くなっている。最低賃金の地域間格差は、地方から
都市部への人材流出の一因とも指摘されており、地方の人手不足を深刻化させている。新潟県内においても、地域経済の維持、活性化のためには、
最低賃金の地域間格差を解消し人材流出を食い止めることが急務である。
そのため、当会は、中央最低賃金審議会には地域別最低賃金改定額の目安を、新潟地方最低賃金審議会には新潟県の地域別最低賃金を、
それぞれ大幅に引き上げる内容の答申をすべきことを求め、国に対して、中小零細企業に対するさらなる実効的な支援策等を実施し最低賃金引上げを
支えるとともに、最低賃金の地域間格差是正により、新潟県内の人口流出に歯止めをかけ、地域経済の活性化に寄与することを求める。
2026年(令和8年)6月25日
新潟県弁護士会
会長 大 田 陸 介