新潟地方最低賃金審議会に最低賃金引上げの答申を求める会長談話
厚生労働省の中央最低賃金審議会は、本年7月22日、最低賃金の今年の改定について、引上額の目安を示さずに「現行水準の維持が適当」とする旨を答申しました。目安を示さなかったのは、リーマンショックの影響が出た2009年度(平成21年度)以来の異例の決定とのことです。
新型コロナウイルス感染拡大による経済への打撃の考慮を理由にしたとはいえ、大変残念です。元々の全国の最低賃金の水準(昨年度の全国平均で時給901円)が、人間らしい生活を営むためには低過ぎます。最低賃金の地域間格差が広がっていることも大きな問題です。
コロナ禍終息後の景気浮揚を見据えるなら、最低賃金引上げの流れを止めるべきではありません。経営に影響を受ける中小企業に対しては、新型コロナウイルス対策で拡充された支援策も含め、政府が今後も長期的継続的に支援を一層強化していくべきです。
このような観点から、当会は、本年7月8日付けで「労働者の生活を守り、地域経済を発展させるために最低賃金の引上げ及び中小企業支援の更なる強化並びに全国一律最低賃金制度の実施を求める会長声明」を発し、中央最低賃金審議会と新潟地方最低賃金審議会に最低賃金の引上げを求めたところです。
以上から、新潟地方最低賃金審議会に対し、本年8月5日午前10時に開催される本年度第3回の会議において、中央最低賃金審議会の上記答申にとらわれることなく、新潟県の地域別最低賃金を大幅に引き上げる旨の答申を決定されるよう、改めて強く求めます。
2020年(令和2年)7月31日
新潟県弁護士会
会長 水 内 基 成