改正相続法施行についての会長談話
本日、改正民法(相続法)の大部分が施行されました。
今回施行される規定の中には、遺産分割前の預貯金債権行使を容易にするもの、相続人以外の貢献を考慮するものなどが含まれており、一定の課題を含みつつも相続人による権利行使を容易化し、また、相続人以外の方々も含めた関係者間の公平を図る上で評価すべき点も含まれます。
私たち新潟県弁護士会は、相続の専門家である弁護士の加入する団体として、法律相談や代理人としての活動などを通じ、改正相続法の諸規定が適切に運用され、県民の利益が擁護されるよう、今後も日々取り組んでまいります。
他方、相続法改正によっても多くの課題が積み残されたままとされています。
例えば、相続人以外の貢献を考慮する特別寄与制度については、寄与料の請求をなしうるのは親族だけであり、内縁関係にある方々については特別寄与制度の適用はありません。この点、改正相続法案可決にあたり、衆議院・参議院の法務委員会においては、「多様な家族のあり方を尊重する観点から、特別の寄与の制度その他本法の施行状況を踏まえつつ、その保護のあり方について検討すること」との附帯決議がなされているところです。
私たち新潟県弁護士会も、改正相続法の運用を適宜検証し、必要に応じて、相続法が現代の家族のあり方にフィットしたものとなるよう提言を行っていく所存です。
2019年(令和元年)7月1日
新潟県弁護士会
会長 齋 藤 裕