ハンセン病家族訴訟判決に対する控訴断念についての会長談話
政府は、令和1年6月28日、熊本地方裁判所で言い渡されたハンセン病家族訴訟判決について控訴を断念することを明らかにしました。
多様で重大な論点が存在する同事件について、被害者の早期救済の観点で、控訴を断念したことについては敬意を表するものです。
同判決は、就学拒否や結婚差別などの差別、家族関係の形成阻害といった被害を認定しています。そして、同判決は、平成14年以降について、法的な意味での差別除去義務を認めることはできないとしつつ、平成25年にいたっても社会的に無視できないハンセン病患者の家族に対する差別被害が生じているとしています。政府として、訴訟で示された原告らの声に耳を傾け、また、実態調査などを行い、それらを踏まえ差別解消に向けた実効的な対策をとることを期待するところです。
また、病気を原因とする差別はハンセン病にとどまるものではありません。新潟水俣病をはじめ、病気によるあらゆる差別を解消するよう、政府に対し不断の対策をとるよう求めます。
2019年(令和元年)7月9日
新潟県弁護士会
会長 齋 藤 裕