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お知らせ

新型コロナウイルス感染及び同対策に伴う税の申告期限の延長を求める意見書

                  意 見 の 趣 旨
   国税庁長官、新潟県知事、各市町村長に対し、国税通則法施行令3条1項あるいは各自治体の税条例に基づき、各種税金の申告期限を延長することを求める。

                  意  見  の  理  由
新型コロナウイルス感染症対策本部は、「まさに今が、今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で、極めて重要な時期である」として、令和2年2月25日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(以下、「基本方針」という)を公表した。
同基本方針には、現時点での対策として、「企業に対して発熱等の風邪症状がみられる職員等への休暇取得の勧奨」、「濃厚接触者に対する健康観察、外出自粛の要請等を行う」、「地方自治体が・・・患者クラスター(集団)が発生しているおそれがある場合には、確認された患者クラスター(集団)に関係する施設の休業やイベントの自粛等の必要な対応を要請する」との対応が記載されている。また、「今後」の対応として、「地域で患者が継続的に増えている状況では・・・広く外出自粛の協力を求める対応にシフトする」とされている。政府要請にともない、3月2日から多くの学校において休校となり、その親などにおいて出勤が困難になる事態が想定されることも踏まえると、各種税申告が困難となることが想定される。
さらに、3月に申告会場が混雑することは感染防止の観点から望ましくない。
この点、所得税の確定申告については、すでに国税庁長官において期限延長を行ったところであるが、上記状況を踏まえると極めて適切と言える。
しかし、3月に申告期限を迎えるのは所得税だけではない。
法人税、法人住民税、法人事業税の申告期限は原則として決算日後から2ケ月後となる。市県民税については2020年では3月16日が期限となる。 
12月から1月に決算日を迎える法人、及び市県民税の申告を要する個人については3月の申告期限に間に合わせるために懸命に作業を行っているところである。その状況において、基本方針どおりの対応を行った場合には、申告に間に合わないことになりかねないし、そのため基本方針が順守されないという事態も想定されるところである。子どもの休校のため、申告対応ができないというケースも想定されうる。市県民税については、混雑した申告会場における感染も懸念される。
 そこで、国税庁長官、新潟県知事、各市町村長においては、申告義務を負う者らにおいて、申告期限を気にせず基本方針を順守しうるよう、申告期限の延長をしていただきたい。
この点、国税通則法及び国税通則法施行令は以下のとおり定める。

国税通則法第十一条 
国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。

国税通則法施行令第3条
 1  国税庁長官は、都道府県の全部又は一部にわたり災害その他やむを得ない理由により、法第11条(災害等による期限の延長)に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、地域及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。
 2  国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、法第11条に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、前項の規定の適用がある場合を除き、当該行為をすべき者の申請により、期日を指定して当該期限を延長するものとする。
   「災害その他やむを得ない理由」について、国税通則法基本通達は以下のとおり解釈すべきとしている。

この条の「災害その他やむを得ない理由」とは、国税に関する法令に基づく申告、申請、請求、届出、その他書類の提出、納付または徴収に関する行為(以下この条関係において「申告等」という。)の不能に直接因果関係を有するおおむね次に掲げる事実をいい、これらの事実に基因して資金不足を生じたため、納付ができない場合は含まない。
(1) 地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地滑りその他の自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通途絶その他の人為による異常な災害
(3) 申告等をする者の重傷病、申告等に用いる電子情報処理組織(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第三条第一項に規定する電子情報処理組織をいう。)で国税庁が運用するものの期限間際の使用不能その他の自己の責めに帰さないやむを得ない事実
 少なくとも、基本方針に従う結果として、事業者自身や申告担当者が出勤できず、 申告作業を行うことができない場合には、3号の「その他の自己の責めに帰さないやむを得ない事実」には該当すると考えられる。
  地方税についても、新潟県県税条例ほかの各条例において、「災害その他やむをえない理由」がある場合の期限延長が定められている。
 よって、国税庁長官、新潟県知事、各市町村長に対し、国税通則法施行令3条1項あるいは各自治体の税条例に基づき、各種税金の告期限を延長することを求める。       
2020年3月4日
新潟県弁護士会 
会長  齋  藤     裕


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