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お知らせ

新潟県内初の公文書管理条例施行を機に、改めて県内全自治体における公文書管理条例制定を求める会長談話

当会は、2020年2月、新潟県を除く全自治体に公文書管理条例の制定状況などに関するアンケート調査を実施し、26自治体から回答をいただいた。
そのうち、新潟市、柏崎市のみが条例制定の予定があるとの回答であり、その他の自治体においては具体的な予定がないとの回答であった。
そして、具体的な予定がないことの理由としては、文書管理規程などに則り処理をしており、支障が生じていないという点があげられている。
しかし、公文書管理法34条は、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」としているところである。 
そして、公文書管理法1条は、「この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。」としているところである。そして、このような目的を踏まえ、同法は、4条において作成されるべき文書の範囲を明らかにし、よって意思決定過程などに関する文書が作成され、知る権利が実質的に保障されることを目指している。また、16条において法律上の権利、すなわち不服申し立てや行政訴訟で争うことができることが明確な権利としての利用請求権を認めるなどしている。
しかし、多くの自治体の文書管理規程においては作成されるべき文書の範囲が定められておらず、市民において正当な関心を持ちうる重要な決定の意思形成過程について文書が作成される保障はない。また、文書管理規程において利用請求権は規定されていないし、多くの情報公開条例において歴史的公文書が制度の適用対象外とされているため、結局歴史的公文書について市民は法的な利用権を認められていないということになる。これでは、到底、支障が生じていないとは言えないし、公文書管理法34条の求める、公文書管理法の趣旨に則った施策が行われているとは言えない。
令和2年4月1日、新潟県公文書管理条例が施行される。これは新潟県における初めての公文書管理条例の施行であり、新潟県における知る権利保障の歴史の上で一大画期をなすものである。この期に、公文書管理条例制定を具体的に検討していない自治体においては、公文書管理条例制定に向けた検討を進めていただきたい。
また、公文書管理条例の検討を進めている自治体については、市民の知る権利を尊重する姿勢に対し敬意を表するとともに、廃棄判断に外部有識者が関与する仕組みなど、より確実に知る権利が保障される仕組みを取り入れるよう希望する。
以上
2020年3月27日
新潟県弁護士会
会長 齋 藤  裕 


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