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お知らせ

中小企業の日を迎えるにあたり、地域を支える中小企業・小規模事業者の伴走支援の拡充を目指す会長声明

 新潟県の中小企業・小規模事業者(以下「中小企業」といいます。)は、県内企業数全体の99.8%を占め、
従業者の84.3%に当たる約58万人を雇用しています。まさしく、県内経済の根幹を支え、
地域の雇用を創出して、従業員やその家族等の生活を支え、また、これらの人々によって企業も支えられています。
基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士には、
県民の生存権・幸福追求権等を支える中小企業を支援する役割が求められています。
 当会は、2011年(平成23年)4月に、新潟県弁護士会中小企業法律支援センターを発足させ、
2024年(令和6年)6月までに、新潟県内の16の商工会議所のうちの7つの商工会議所、
2つの士業団体及び6つの中小企業関連団体との間で、中小企業支援に関する連携協定を締結し、
セミナーや相談会の共催・講師派遣・勉強会・情報交換等を行ってきました。
 ところで、県内中小企業は、新型コロナウイルス感染症蔓延による業績悪化にとどまらず、
ウクライナ戦争や急激な円安に伴う、資源・エネルギーや原材料等の世界的な価格高騰、マイナス金利の解除、
人口減少による国内需要の縮小・人手不足・後継者不足、人件費の高騰等、
かつてないほどの厳しい経営環境に直面しています。特に中小企業は、
①大企業に比して資本力や人的体制等の余力が乏しいこと、
②経営環境の変化による影響を受けやすいこと、
③価格決定力に欠けるため大企業との取引における適正利益の確保が困難であること、
④働き手を確保するために必要な賃上げを行うことが難しいこと等から、現下の経済環境での安定経営の継続は容易ではありません。
県内の2023年の倒産件数は前年度比1.3倍、同休廃業件数は前年比1.13倍と、いずれも増加傾向にあります。
 このような状況下で、弁護士による中小企業支援においては、より多くの事業者に法的サービスを
行き渡らせる必要があることはもちろん、紛争・トラブルの解決や予防だけにとどまらず、中小企業との対話と傾聴を通じて、
経営課題の発見、解決策の立案及び実行を支援すること、すなわち「伴走支援」を行うことが極めて有用であると
言わなければなりません。伴走支援を実現するためには、企業にとって適切な時期に相談対応ができるよう、
弁護士が中小企業にアプローチをしていく必要があります。
 弁護士会が設置し、中小企業の経営上の問題・悩み・困りごと等について初回30分無料にて
弁護士が相談対応をする「ひまわりほっとダイヤル」の件数は、この数年増加傾向にあります。
「ひまわりほっとダイヤル」は、県内各地の弁護士が登録しており、様々な問題を抱える中小企業にとって、
気軽に近隣の弁護士への相談が可能となるセーフティーネットの役割も担っています。
 当会としては、弁護士がリーチできていない中小企業に対しては、各中小企業関連団体における支援制度を
通じるなどして適切な時期に法的サービスを提供できるよう、各関連団体との間の相互交流・相互理解を深め、
互いに顔の見える関係を構築・維持し、連携関係をより一層深化させていく所存です。
 中小企業庁は、わが国経済を支える中小企業の魅力を広く伝えるため、2019年(令和元年)より、
毎年7月20日を「中小企業の日」、7月の1カ月間を「中小企業魅力発信月間」としています。
当会では、これに合わせ、毎年、県内各地でのセミナー・相談会等を行っています。
本年も7月20日に、各地の商工会議所等と連携し、県内各地でセミナー・相談会を開催します。
 これらの制度や活動等を通じて、弁護士が身近な相談相手として中小企業との信頼関係を醸成し、
対話と傾聴によって中小企業とその経営環境に対する理解を深め、県内のあらゆる中小企業に対して
伴走支援を行うことが可能となるよう拡充を進めていく所存です。

                            2024年(令和6年)7月1日
                                    新潟県弁護士会
                                    会長 中村 崇


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