Do-Not-Call/Knock制度の導入を求める会長声明~特定商取引法に事前拒否者への勧誘禁止制度の導入を~
第1 声明の趣旨
特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引法」という。)に、予め、訪問又は電話による勧誘行為を拒絶する意思を表示している消費者に
対しては、これらの勧誘行為を禁止する制度(事前拒否者への勧誘禁止制度)を導入すべきである。
具体的には、電話勧誘を受けたくない消費者が電話番号の登録を行い、登録者への電話勧誘を禁止する制度(Do-Not-Call制度)や、
訪問販売を受けたくない消費者が門戸に「訪問販売お断り」を意味するステッカー等を掲示した場合に、掲示者への訪問勧誘を禁止する
制度(Do-Not-Knock制度)を導入すべきである。
第2 声明の理由
1 現行の特定商取引法は、飛び込み訪問勧誘や無差別電話勧誘に対して具体的な拒否の意思を示した者に対する再度の勧誘を
禁じている(同法第3条の2、第17条)。しかし、勧誘の着手自体は禁止されていないため、勧誘を拒絶できない消費者が
不本意・不当な契約を締結してしまう危険がある。
実際、平成27年4月に開催された内閣府消費者委員会特定商取引法専門調査会における消費者庁からの提出資料によると、
訪問販売・電話勧誘販売の契約当事者は、60歳以上の方が5割を超えており、その年代が対象となることが多いことが示唆されている。
また、平成27年5月の消費者庁の調査によると、消費者の96%以上が訪問勧誘、電話勧誘を「全く受けたくない」と回答している。
2 不当な勧誘による消費者被害を防ぐためには、いわゆるDo-Not-Call制度及びDo-Not-Knock制度を導入し、事業者がこれらの
制度による禁止行為に違反して勧誘を行った場合には、当該事業者に行政処分や罰則を適用するほか、消費者は当該勧誘により
締結された契約の無効、取り消し、又は解除を主張することができるようにすべきである。
3 事前拒否者への勧誘禁止制度に対しては、営業の自由を害するものであるとの意見もあるが、営業の自由は無制限に認められる
ものではなく、勧誘を受けたくないと拒否の意思を示している消費者の意思に反してまで、営業の自由を尊重する理由はない。
4 よって、当会は、声明の趣旨のとおり、事前拒否者への勧誘禁止制度の導入を求める。
2016年(平成28年)1月12日
新潟県弁護士会
会長 平 哲 也