復興庁参事官によるツイッターへの書き込みに強く抗議し、原発事故子ども・被災者支援法の趣旨に忠実な基本方針の早期策定を求める会長声明
本年6月13日、「原発事故子ども・被災者支援法」(以下、「支援法」という。)を担当する復興庁の参事官が、ツイッター上で、
被災者や支援者、国会議員らを誹謗中傷するなどの不適切な書き込みを繰り返していたことが発覚した。
当該参事官は、支援法の具体的施策の策定にあたり、被災者の声を聞くためのフォーラム等に復興庁を代表して出席し、復興庁が
本年3月15日に発表した「原子力災害による被災者支援施策パッケージ」の策定に関わってきた人物である。
支援法が策定されて、間もなく1年を迎えるが、未だその具体的施策の策定はなされていない。また、上記施策パッケージは同法の
理念に沿ったものではないとの批判がなされているところである。
当該参事官は、市民や国会議員が支援法に関して催した多くの会合に復興庁を代表して出席するなど、支援法の理念に基づいて被災者に
寄り添う具体的施策の策定に尽力していると考えられていたが、本年3月8日には、「今日は懸案が一つ解決。正確に言うと、白黒つけずに
曖昧なままにしておくことに関係者が同意」と課題の先送りを是とするかのような書き込みをしたり、それ以外にも被災者や支援者らを
誹謗中傷する書き込みを繰り返した。このような書き込みにあるような認識の下で業務に当たっていたのであるとすれば、それは被災者に
対する著しい背信行為であるといっても過言ではない。
本来、被災者の置かれた実情を理解し、支援法の理念に基づいて活動すべき復興庁の職員がこのような背信行為に及んだ背景には、
復興庁全体に今回の書き込みが許されるような雰囲気や体質があったとの疑念を抱かざるを得ない。また、当該参事官が支援法の具体的施策の
策定において、重要な役割を占めていたことからすると、本件問題は同参事官の資質の問題にとどまらず、支援法の具体的施策の策定に
対する政府の姿勢も問われなければならない。
根本復興大臣は平成25年6月14日付でお詫びの言葉を述べているが、政府及び同庁が果たして支援法の理念に沿った具体的施策を
真摯に策定するつもりがあるのか、また、課題の先送りを是としているのではないかという疑念が完全に払拭されたとは言い難い。
当会は、平成25年3月12日付け会長声明により、原発事故による避難者に寄り添う支援をさらに続けていくことを意見表明したした
ところであり、今回のような被災者支援に取り組む市民団体、国会議員、地方自治体関係者らに対する誹謗中傷を看過することはできない。
ここに、政府、復興庁に対し、当該参事官に対する調査を速やかに行い、しかるべき処分を下すことはもとより、上記疑念を払拭する
ためにも復興庁内部に支援法の理念に沿った具体的施策を検討する部署を新たに立ち上げ、支援法の趣旨に忠実な基本方針を速やかに
策定するよう強く求める。
2013年(平成25年)6月18日
新潟県弁護士会
会長 味 岡 申 宰